おしゃべり倉庫

うちの子がおしゃべりしているだけの倉庫

賢盗と藍 その2


―後日

 

「いらっしゃい」

「ああ、お邪魔するよ」

「会うの結構久しぶりよね、お仕事忙しいの?」

「そうだな…最近は常連さんも増えてきて前よりは忙しくなってきたかも」

「ふふ、それはよかった。あ、新しい紅茶をもらったの!入れてくるわ~」

「何か手伝おうか?」

「いいのいいの、お疲れなお客さんは座ってゆっくり待ってて」

「…ありがとう」

 


「…今日は、あいつ家に居ないのか?」

「賢盗くん?うーん、ここ3日くらい帰ってきてないんじゃないかしら」

「3日…」

「えーと、3日前の朝帰ってきてー…朝ご飯食べてるところ見ながら私は仕事に向かってー…帰ってきた頃にはもう居なかったかな。また他の子の家に遊びに行ってるんだと思うわ」

「いつもそんな感じなのか?」

「そうよ~最近は特にそう。ほんと、野良猫みたいな子」

「ふぅん…」

 

―ガチャ

 

「ただいま~…ってあれ、千紘サン来てんじゃん」

「…」

「あら、おかえりなさい。賢盗くんも紅茶飲む?クッキーもあるわよ」

「いや今お腹いっぱいだからいいや。夜からさっきまで舞子と飲んでてさぁ」

「…お前、いつまでそうやってフラフラしてるつもりだ?」

「え、突然何?」

「だから、いつまでそうやってフラフラと他の女のところに行っては遊び呆けるつもりだ」

「いつまでって…ずっと?」

「藍のことを何だと思ってるんだお前は、大事な彼女なんだろう」

「彼女っていうけどさぁ、だってそれでいいって言ったの藍だよ?俺悪くなくない?」

「はぁ…藍」

「…は、はい」

「悪い、私はこんな奴が藍の側にいることが藍の幸せとは到底思えない」

「…」

「おい、賢盗」

「…何?」

「今すぐ出ていけ」

「は?」

「藍と別れてくれ。今すぐこの家から出て行って、そして金輪際藍に近づくな」

「千紘…」

「あーはいはい、別にいいよ。俺もそろそろ藍の束縛に耐えれないと思ってたし。我慢してこのまま居座っても結局千紘サンが面倒だろうし。願ったり叶ったりって感じ」

「ふん、」

「…」

「…よいしょっと。荷物は全部捨てていいから、じゃあね藍」

 


―バタン

 

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