「「涼、誕生日おめでと~~~~~!」」
「…わーい、どもー」
「今年のお料理、結構おしゃれでいい感じ~…どこの?」
「幸介さんの友達のシェフさんお手製のオードブル。この前紹介してもらってさ」
「へぇー…(もぐもぐ)」
「こら、まだいただきますしてないでしょ!」
「え、おめでとうのくだりがもうスタートの合図だろ…?あ、うまこの肉」
「涼のために特製のオレンジソース作ってくれたんだって。よかったな」
「そんなことまでしてくれるの?すごい親切…お礼も兼ねて今度お店にも食べに行きたいね。」
「いいな、行こうぜ。世羅、次の休みは?」
「次?ちょっと待ってね…うーん、明日からちょっと忙しいから…行けても来週末?どう?」
「おっけー」
「相変わらず忙しくしてんだな」
「お陰様でね。あ、そうだ今度新しい企画組むんだけど…涼興味ある?」
「なーい」
「やっぱり?はーまただめかぁ。」
「また?何、いつも断ってんの?せっかくの名を広めるチャンスなのに」
「俺は俺を広めたいんじゃなくて、ギターの腕でどこまでいけるか試したいだけだし…」
「そういう精神で今のご時世生きていけるもんなの?」
「しらねー。それに雑誌なんかに載ったらピアニストの俺がでしゃばるから嫌だ」
「まあ出ればそりゃバレるわな。」
「じゃあ身分隠しちゃえばいいじゃない」
「音楽界に突如現れた期待の新人、謎のアーティストRって?」
「あはは、ベッタベタな煽り文ね~」
「まあ今のはお遊びだけど、正体を隠してっていうのは結構いい案なんじゃないか?」
「えー…」
「私達は涼の実力を十分に分かってるけど、今のご時世情報を発信しないといいものも広がらないんだよ」
「そうだそうだ、情報ってのはお前が思ってるより大事なんだからな」
「なんだお前ら…急に謎の団結力見せやがって…」
「今回はweb企画だし、音源も試聴できるようにしてあげられるし、ね?悪い条件じゃないでしょ?」
「うーん、まあいっか。」
「お、思ったよりあっさり折れた」
「ほんと?やった~~~~!ちょっとまってて編集長に連絡してくるから!!」
「え、あ、今?え、ちょっと世羅…!?」
「はは、熱意すご。」
「…ま、いっか。先ケーキ食っちまおうぜ」
「おっけ。用意してくる」
…
「ただいま~!無事ページ確保しました…ってもうケーキ食べてる!?」
「だってお前勝手に出ていくし、全然帰ってこないし…(もぐ)」
「おかえり。それにしても世羅、また腕上げたな。うまいうまい(もぐ)」
「ふふ、でしょ~?」
「この器用さがなんで音楽方向には発揮されないんだろうな…」
「う、うるさいわね…地道に頑張ってるでしょ…」
「進歩してないこともないけど…うん…」
「はは…世羅の分ケーキも取り分けてこようか。ちょっとまってて。」
「あ、ありがとー聖。…そうだ、はい。今年のプレゼント渡しておくね。どうぞ。」
「おー…さんきゅー(ガザガザ)おお!これは…!まじか…!これ買おうと思ってたけど即売り切れちゃってさぁ…!よく手に入ったな…!?」
「まあ私も会社のツテで偶然手に入っただけなんだけどね。気に入ってもらえてよかった」
「いやぁ…嬉し~……、はぁ…」
「ふふ…今年も一緒にお祝いさせてくれてありがとうね、涼」
「…!」
「…さ!ケーキ待ちきれないし取ってこよ!聖~この前持ってきた紅茶どこ~?!」
「紅茶ぁ~?確かそこの棚の右下あたりにー…」
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まとめ
世羅 最新のヘッドホン+お手製のケーキ(毎年)
聖 毎年お互いに何もあげない。ただその日の家事は全部祝う側がやる